恐怖体験記

 夜、コンビニへいこうかなと道をとぼとぼ歩いていると人通りの少ない駐車場に止まってる車が急に上下に動き出したんです。
 普段からオカルト関連に関心があったんで、それを見た瞬間、「あ、これポルターガイスト現象!」って判ったんです。この稀な現象をビデオで絶対撮っておきたい!と携帯でビデオ撮影し初めました。
 その車の上下運動はどんどん激しくなっていって、うゎ!知ってるポルターガイスト現象と同じ!ってさらに興奮です。
 そうこうしていると車の上下運動が急に止まり「あれ???」と思っていると、中から男の人が怒号をあげながら近づいてくるんです、「うわ!霊に取り付かれた人だ!」とすぐに判ったんで全速力で男の人から逃げたんです。走っても走っても、走っても走っても怒号をあげながら追いかけてくる男はまさに鬼の形相。
 しばらくして霊に取り付かれた鬼との追いかけっこ、というか鬼ごっこも遂に鬼に捕まってしまう事で終息を迎えたのです。
 そこで霊をどうにか退散させようと「エルエムエッサイム」とか「ベントラベントラ」と思いつく呪文らしきものを唱えたのですが、全く効果がありません。鬼はしつこく「そのビデオをどうするつもりだ」と襟っ首を掴みながら聞いてくるんです。この貴重なビデオは歴史的証拠になるかもしれないと思っていたので消すどころかYouTubeにアップするつもりでした。その事を鬼に伝えた瞬間意識が遠のいて行くのがわかりました。
 気が付いたときは既に病院のベッドで傍らには粉々にされた携帯電話。嗚呼、きっと除霊の呪文が間違っていたのだな。オカルトを知るにはまずピンチに陥ったときの対処法からきちんと勉強しないと。転ばぬ先の杖って言うし。





以上、「転ばぬ先の杖」を使っての作文。